関西を拠点に活躍するヴァイオリニスト中島慎子さんは、いずみシンフォニエッタ大阪の奏者としてもおなじみ。演奏家としての本音トークや日常の四方山話をここでお楽しみください。
中島慎子のプロフィール >>


その弐拾参


 おかえりなさいませ。慎女将でございます。
 今月の温泉玉子は少しかために茹で上げております。

 あたかも浮世離れで暮らしているような音楽家であっても、人間である以上、社会から孤立しては生きていけません。
 資本主義というシステムでは、ご飯を食べて税金を納め、たとえ芸術家であろうとも何らかの方法で自分の才能をお金に換金せねば、生活していくことが出来ないのが現実です。

 モーツアルトやバルトークの伝記を読んでも分かることですが、才能があるからといって裕福な生活が保障されているわけではないし、
 どちらかといえば、そういう経済的なことを計算するのが苦手な音楽家のほうが、多いのではないかしらん。

 不況の時代だと騒がれている今。
 イラナイ!ムダな経費だとまず仕分けされてしまうのが、芸術文化の分野であることが多いです。
 空気や食べ物、水とは違って、無くてもとりあえずは生きていけるもの。

 では、必要最小限、生物学的に生命を保つモノだけを人間に与えたとして、
 それで人は幸せだと答えるかどうか?
 機能性、利便性を優先して、そのほかのモノを世の中から全部排除してしまったら。
 そこは真っ暗で味気のない、冷たい世界になってしまうに違いありません。

  ・・・生きてはいけるだろうけれど、暮らせはしないかも。
 (特に女将の!!)生活の楽しい部分は、ムダの世界だけで成り立っているようなものですもの。
 シンプルに生きるというのとは全く意味が違っています。
 何を選ぶか、という選択の自由を誰もが持てるところが、民主主義、資本主義のもっとも美味な部分だと女将は思います。

 人間はなんのために生きるのか。
 幸せには何が必要で、何がムダなものなのか。
 その選択は、その人の、人生の価値観によって色々に異なるものでしょう。
 また、その価値観は、家族や環境、教育によって、大きな影響を受けるものだとも思います。

 『ムダ』 から感動をしたことのない人に、その『ムダ』 の必要性を伝えるのは無理な話で、まずワレワレは『ムダ』 の重要性を世界に発信しなくてはなりません☆
 (なんか、ムダ、ムダの連呼で、楽しい気分になってきました♪ byムダ星人)

 しかし現実の社会では今、『ムダ』 な芸術分野よりも、『ムダ』 なテレビや携帯電話、インターネットのほうが、日々の生活に不可欠だと思う現代人の方が圧倒的に多いのではないかしら?

 ムダ星人・・・厳しい生存競争です。

 それに、世の中にはすでに、歴代の名演奏を録音したCDも、最近にはYOU TUBEという便利なものもあるし、
『どうしてわざわざ、演奏は生(なま)でなければいけない理由が、どこにあるのですか?』 と仕分け人に問い詰められてしまったら、非常に困るところです・・・

 ――― コノ質問に負ケナイ立派な『ムダ』 を創リ、『ムダ』 ナシでは生きてイケない『ムダ』 中毒者を増やすノガ、ワレワレのジュウヨウナ使命ナノデス (ムダ星人代表談)